作り置きの温め直し、本当に安全なやり方は?
「温める」と「しっかり温め直す」は、似ているようで別の作業だ。温め直しの目的は、スプーンがたまたま触れた一口だけでなく、料理のすみずみまで、菌が増えやすい温度帯をもう一度きちんと通り抜けさせることにある。温め直した料理で実際に困ったことが起きるとき、原因は冷蔵庫に置いた日数よりも、器のふちはもう湯気が立っているのに真ん中はまだぬるい、というムラであることのほうが多い。
一度火を通したからといって、ずっと安全なわけではない
加熱は、料理の中の菌の数を大きく減らす。だからこそ作りたてはそのまま食べて問題ない。ただし、無菌にするわけではない。ごく一部の耐熱性の芽胞は普通の加熱では死なず生き残るし、料理が冷め始めた瞬間から、スプーンや台に置いたフタ、台所の空気など、あとから触れるものが新たに何かを持ち込んでくる。だから温め直しは「一度火を通したものの形式的な作業」ではなく、それ自体が満たすべき基準を持つ、独立した工程になる。冷蔵庫で二日過ごした容器の中身には、一日目の生の材料が必要としていたのとほぼ同じもの——十分な熱を、十分な時間、すみずみまで——が必要だ。
電子レンジでムラができる理由
電子レンジは、オーブンやコンロとは違う仕組みで食品を温める。マイクロ波が食品中の水分子を振動させ、その振動が熱として現れる。ただし、マイクロ波が実際に十分な強さで届く場所に限られる。庫内は均一な場ではなく、強い場所と弱い場所が入り混じったパターンになっていて、電子レンジにターンテーブルが付いているのはまさにこのためだ。皿を回すのは、このムラをある程度ならすための対処であって、完全に解消するものではない。さらに、マイクロ波が届くのは食品の表面から数センチまでにすぎない。厚みのある食品の中心部は、マイクロ波で直接温められているわけではなく、より熱くなった表面から熱がじわじわ伝わってくる——その伝導は、表面をマイクロ波で温めるよりずっと遅いプロセスだ。この二つが重なると、鍋いっぱいのシチューが、ふちは湯気が立つほど熱いのに、真ん中はぬるいままということが実際に起こる。ふちに近いところを味見しても、真ん中がどうなっているかはまったくわからない。
「しっかり熱が通った」とは、具体的にどういう状態か
食品安全の目安として一般に示されるのは、電子レンジに何分かけるかではなく温度で、温め直した料理はどこも表面だけでなく中心まで約74℃前後に達していること——触ってあたたかい程度ではなく、実際に湯気がしっかり立っている状態を指す。この数字が目の前の一皿について何かを保証してくれるわけではないが、目指すべき基準がどこにあるかを教えてくれる点で役に立つ。そしてその基準は、「気持ちよく食べられるくらいあたたかい」よりもかなり高く、多くの温め直しは実際にはその低いほうの基準で止まっている。
よくある料理を、実際どう温め直すか
- スープ、煮込み、ソース、カレー。コンロでの温め直しがいちばんムラになりにくい。かき混ぜる動作がそもそも工程に組み込まれているからだ。弱火でゆらす程度ではなく、しっかりぐつぐつと煮立たせ、途中で何度か混ぜて、鍋底と真ん中が同じくらいのペースで熱くなるようにする。
- ご飯や穀物。そのまま加熱すると乾燥しやすく、ムラも出やすい。少量の水を振りかけてラップやお皿でふたをすると、蒸気が全方向から米粒を温めてくれる——容器に触れている面だけでなく。途中で一度かき混ぜて、ふちのあたたまったご飯と中心のまだ冷たいご飯を入れ替える。
- グラタン、パスタの焼き物、厚みのある肉。これらは、本当に冷たい芯が残りやすい料理の代表だ。ふたをして蒸気を逃がさず、途中で天地を返すか向きを変え、最後は皿のふちに近い部分ではなく、実際の中心を確認してから判断する。ふちはいつも先にあたたまってしまう。
- 魚介類や、火の通りが繊細な食材。強い火力で短時間より、弱めの火力で少し長めのほうがうまくいく。強い火力だと、内側が十分に温まる前に外側だけ硬く乾いてしまう。真ん中が冷たいままという問題とは逆に見えるが、原因は同じ「ムラ」にある。
「二回に分けて、間で混ぜる」がなぜ効くのか
電子レンジを一度に長くかけるより、短めに二回に分けて、間でかき混ぜたほうがほぼ確実にムラが少なくなる。これは気分の問題ではなく、単純に仕組みの話だ。かき混ぜることで、外側のすでに熱くなった部分を物理的に中心へ移動させる。熱が自然に伝わるのを待つのではなく、直接運んでしまう。電子レンジを止めたあと、ふたをしたまま1〜2分置いておくのも似た効果がある。外側にすでにたまっている熱が、その間もじわじわ中心へ移動し続けるので、「表面はあたたかそう」に感じる部分と、実際にはまだ冷たかった内側との差を、かなり埋めてくれる。
冷凍のまま温め直す場合
オーブンやコンロは、冷凍のままでも直接温め直せる。ただし解凍と加熱を同時にこなすぶん、時間はかかる。電子レンジはこの点でずっと不利だ。外側から解凍と加熱が始まる一方で、中心はまだ氷の塊のままということが起こりやすく、先に説明したムラの問題がさらに極端な形で現れる。厚みのあるものは、冷蔵庫で一晩かけて、あるいは電子レンジの解凍モードでしっかり解凍してから、普段どおり温め直すほうが、はるかにムラの少ない結果になる。どちらの方法をとるにしても、確認すべきことは同じだ。最初に皿に届いた部分ではなく、実際の中心を見る。
ムラのある温め直しは、食品ロスの原因でもある
この話は「安全」の問題として語られがちだが、実はまだ十分おいしく食べられるはずの作り置きが、誰も気づかないうちに食べられなくなっていく理由のひとつでもある。ふちは湯気が立つほど熱いのに真ん中はぬるい一皿は、それだけで味が落ちる——ご飯の中心がべたついていたり、ソースがひと口ごとに熱かったり生ぬるかったり。そして「温め直しに失敗した味」がする料理は、実際には何も問題がなくても、だんだん手が伸びなくなっていく。誰かがその容器を捨てようと決めるわけではない。ただもう一日、また一日と置かれ続け、最終的に捨てられるときには、最初のきっかけだった「ムラのある温め直し」とはもう関係のない理由になっている。
手間をかけてしっかり温め直す価値があるかどうかは、まずそれが何なのかを把握できているかどうかから始まる。Munch は冷蔵庫や冷凍庫の中身をバッチ単位で記録し、いつ作られたものかという日付を残す。だから昨日の夕食は「昨日作ったもの」としてそのまま表示され、いつのものか分からない容器を、とりあえず強で30秒回して終わり、ということにならずにすむ。