イギリスの食品に書かれた「Display Until」とは?
イギリスのスーパーで売られている冷蔵肉、乳製品、調理済み食品のパックには、「Display Until(陳列期限)」と「Use By(消費期限にあたる表示)」という二つの日付が、同じラベルの上下に並んで印字されていることがよくあります。先に目に入るのはたいてい早いほうの日付で、それを見て「もう期限が切れている」と思ってしまいがちですが、順序が逆です。「Display Until」は、棚を管理するスタッフに向けて書かれた在庫回転のための指示で、その商品を売り場に出しておいてよい最終日を示しているだけです。食品そのものがいつまで食べられるかとは、直接の関係がありません。「この先いつまで食べられるか」に答えているのは、下に印字されているもう一つの日付「Use By」のほうで、家に持ち帰ったあなたに向けて書かれているのはこちらだけです。
「Display Until」は誰のための日付か
お店には、商品が次のお客さんに古く見えてしまう前に棚から下げるための、単純で迷わないルールが必要です。「Display Until」はそのためのルールです。小売店やメーカーが自社の在庫回転の考え方にもとづいて設定したもので、その日付専用に食品安全の試験をしたわけではありません。この日を過ぎると、スタッフはその商品を棚から下げたり、値引きしたり、見切りコーナーに移したりしますが、これはお店が自分たちの棚をどう管理するかという判断であって、食品の安全性についての判断ではありません。これは、別の地域で使われる「Sell By(販売期限)」という表示が果たしている役割と、実はほとんど同じものです。
二つの日付の間には、あらかじめ余裕が組み込まれている
「Display Until」を過ぎていても心配しなくてよいのは、その日付と「Use By」の間の差が偶然ではなく、最初から意図して設けられているからです。仮に陳列期限のぎりぎり最終日にその商品を買ったとしても、家に帰ってから本当に守るべき「Use By」までの間には、実際に安心して使える時間がきちんと残るように設計されています。「Display Until 火曜日、Use By 木曜日」と書かれたパックは、「火曜日に食品が傷む予定で、表示の更新を忘れた」という意味ではなく、「お店側の棚での役目は火曜日で終わるが、あなたにとって本当に大事な期限は木曜日まで始まっていない」という意味です。陳列期限の当日に買うことは、古い食品を買うことではなく、お店側の在庫管理の窓口が終わったばかりで、安全にかかわる期間はこれから始まる商品を買うことにすぎません。
なぜ警告のように見えてしまうのか
誤解が起きる理由の一つは、この日付がどこに、どのように印字されているかにあります。パックによっては、二つの日付が同じ大きさ、同じ書体で並んでいて、ぱっと見た瞬間に先に目に入った早いほうの数字だけで判断が止まってしまいます。さらに、実際に見えているのがパック自体の印字ではなく、棚のプライスカードや「見切り品」のシールに書かれた日付だけ、ということもあります。その場合、その日付はそもそも食品といっしょに家まで持ち帰られることを想定しておらず、棚を離れた時点で意味を失います。いずれにしても、先に目に入った日付を安全の境界線として読んでしまう反応そのものは自然です——賞味期限が、実際には自分の感覚のほうが頼りになる食品についてさえ、絶対的な締め切りのように感じられてしまうのと同じ心理です。ただ、ここでは早いほうの日付は、同じリスクをより厳しく見積もったものではありません。まったく別の問いに、まったく別の読み手に向けて答えているものです。
値引きシールが意味していること
「Display Until」が近づいて商品が値引きされているのを見ると、危険のサインのように感じられるかもしれません。しかし値引きは、あらかじめ組み込まれていた同じ余裕を、廃棄ではなく価格を下げる形で処理しているだけで、お店が「前日に全価格で売っていたものより危険になった」と認めているわけではありません。値引きされた鶏もも肉や見切り品のヨーグルトが品質の劣る食品というわけではなく、Use By の日付も変わっていません。違うのは、お店側の在庫回転のスケジュールの中で、待つよりも値引きしたほうが早くさばける段階に来ている、というだけのことです。
どこで見かけて、どこでは見かけないか
「Display Until」は主にイギリスやアイルランドの小売業の習慣で、店舗のプライベートブランドの冷蔵肉、鶏肉、乳製品、調理済み食品でよく見られます——お店にとって、棚から下げるタイミングを明確にする意味が大きいカテゴリーです。役割としては、北米でよく使われる「Sell By」と近く、どちらも実際に向けられているのは買う側ではなく店員側で、表記の言葉が違うだけです。日本の表示制度には、これに直接あたるものはありません。賞味期限も消費期限も、どちらも食べる人に向けて書かれたもので、棚に並んでいた期間とは関係がないためです。イギリスの商品や、イギリス経由で輸入された食品のパッケージで初めてこの表記を見て戸惑うのは、ごく自然なことです。
二つの日付が並んでいるとき、どう読むか
- 一つのパックに二つの日付が並んでいたら、遅いほうがほぼ確実に自分向けです。「Display Until」や「Sell By」は早いほうの、店側に向けた日付で、「Use By」や「賞味期限・消費期限」にあたる表示は遅いほうの、消費者に向けた日付です。買ったあとは遅いほうだけを見て、早いほうは気にしなくてかまいません。
- 棚のプライスカードに書かれた日付は、食品本体にはついてきません。実際に買った商品自体に印字が見当たらないなら、それはそもそも自宅の冷蔵庫のために書かれた日付ではありません。
- 値引きや見切りのシールは、価格についての判断であって、安全についての判断ではありません。シールの下にある商品本体の Use By 日付は変わっていません。
- パックを開けた時点で、どちらの日付も適用されなくなります。どちらの日付も未開封であることを前提にしており、開封した瞬間から、ラベルには書かれていない、通常はもっと短い別の時計が動き始めます。
お店の在庫管理のルールを覚える必要はありません。必要なのは一つの習慣だけです。二つの日付が並んでいたら、遅いほうを探し、それだけが自分に向けて書かれた答えだと考えること。Munch は、パックのどちらの日付が売り場向けで、どちらが自分の台所向けかを自分で見分ける手間を求めません。買ったものを一度記録しておけば、開封したと記録した日から独自のカウントダウンが始まり、家族全員がリアルタイムで同じ記録を見られます。どちらの印字にたまたま先に気づいたか、ということに頼らずに済みます。