レシピどおりに買い物をすると、なぜ必要以上に買ってしまうのか
レシピには「オイスターソース大さじ1」「ココナッツミルク大さじ2」「トマトペースト小さじ1」「パクチー少々」と書いてある。お店ではオイスターソースは瓶ごと、ココナッツミルクは缶ごと、トマトペーストは何十回分にもなる量のチューブ、パクチーはそんな少量で使う人がいるとは思えないほど立派な一束で売られている。これは買い物の仕方が悪いわけではない。レシピとスーパーの棚という二つの仕組みが、そもそも噛み合うようには作られていない。瓶に残った大量のオイスターソースも、開けたまま余ったココナッツミルクも、しなびていくパクチーも、この隙間からそのまま生まれてくる。
レシピは「何も持っていない読者」に向けて書かれている
レシピは、それを開いた誰にとっても再現できなければならない。つまり、読み手は何も持っていないという前提で書かれている——ほとんどの食材については、実際そのとおりだからだ。書いた人には、あなたの冷蔵庫のドアポケットにトマトペーストが半分残っているかどうかを知る術がない。だから指示は単純に「小さじ1」であり、それは料理の味を決めるために選ばれた数字であって、その小さじ1がお店でどう売られているかとは何の関係もない。この精密さは料理にとっては長所だが、買い物にとっては弱点になる。レシピが最適化しているのは一皿の味であって、使い終わったあとの容器を空にすることではない。
パッケージが解決しているのはまったく別の問題
缶も瓶も一束の量も、どのレシピに合わせて決められたものでもない。製造のしやすさ、日持ち、輸送、そして棚に並べたときにいくらで買ってもらえるかという理屈で決まっている。パクチーが束になっているのは、そう収穫され、そう陳列されるからであって、どの料理も本当にそれだけの量を必要としているからではない。オイスターソースが瓶で売られているのは、一年を通して何十回も使う前提のサイズであって、あるレシピがたまたま欲しがった大さじ1のためではない。味を最適化するレシピと、生産と販売を最適化する棚——どちらも間違ってはいないのに、お互いをまったく考えずに動いているぶん、隙間が生まれるのはむしろ自然な結果だ。買い物リストを手にする前から、その隙間はすでにそこにあった。
「一品のための買い物」と「家のための買い物」は別物
もう一つ、量とは別の種類の隙間がある。方向の問題だ。特定のレシピを手に持って買い物をすると、リストはその一皿に足りないものだけを基準に組み立てられ、冷蔵庫に他に何があるか、何がそろそろ期限を迎えるかとは関係なく決まっていく。レシピが名指ししたものだけをきっちり買って帰り、家にある他の何とも結びつかない、という状態になりやすい。ある一つの工程のためだけに買われた小さな一瓶には、その料理が終わったあとの次の出番が用意されていない。玉ねぎや卵は「特定のどれかのため」に買われるわけではないので、その晩に何を作るとしても自然と使われていく。だが、ある一手順のためだけに買われた大さじ1分の量には、そもそも二度目の使い道が想定されていない。
買った瞬間には、それが無駄には見えない
ここが見落とされやすいところだ。大さじ2のために瓶ごと買うことは、レジで会計する瞬間にはまったく無駄には感じられない。瓶は新品で、封も切っていない、レシピが指定したとおりのもの——その時点では何も間違っていないように見える。無駄が目に見える形になるのは一、二週間あとだ。残りの大部分がドアポケットで、それを必要としない何度もの夕食をやり過ごしたあと。そのとき初めて「うっかり忘れていた」ように感じられるが、実際には棚から取った瞬間から、その料理が必要とする量より多く買っていたというだけのことだ。
実際に役立つこと
- 一品のためだけの食材を買う前に、他に何に使えるかを考える。 ココナッツミルクはカレーだけでなくスープにも使える。オイスターソースはこの料理だけでなく、他の野菜炒めにも使える。今週の献立の他のどれにも使い道がないなら、レジに並ぶ前に気づいておく価値がある。
- その食材そのものを買う前に、家にある代用品を探す。 レシピが求めているのは特定の味や食感であることが多く、必ずしもその商品自体ではない。牛乳にレモン汁や酢を少し足せば、多くの場合バターミルクの代わりになるし、開封済みのパスタソースをひとさじ足せばトマトペーストの代わりになることもある。
- 一度きりしか使わない食材は、割高でも一番小さいサイズを買う。 大容量のほうが単価は安く見えても、十分の一しか使わずに忘れられるより、小さい瓶を使い切るほうがずっと無駄がない。
- 持ち帰ったその日のうちに、残った分を「新しい食材」として記録しておく。 あとで考えようと先送りにしない。「開封済み、残り量はこれくらい」と一言書いておくだけで、「ココナッツミルクがどこかに残っていたはず」が、次の献立にきちんと組み込める具体的な食材に変わる。
そもそもこの問題が起きない発想の向き
ここまでの工夫は、隙間そのものをなくすわけではない。パッケージがレシピの分量に合わせて作り直されることはこの先もない。本当に問題を解決するのは、発想の向きを逆にすることだ。レシピから出発して足りないものを買い足すのではなく、冷蔵庫と冷凍庫に今あるものから出発して、それが何になるかを考える。そうすれば、先週パンケーキを作って残ったバターミルクは、使い道を探している余り物ではなく、最初から今晩の選択肢の一部になる。Munch は冷蔵庫・冷凍庫・パントリーに実際にある、開封済みのものも含めた食材を記録していて、献立を提案するときはレシピを「今あるものだけで作れるかどうか」でグループ分けする。だから、放っておけばドアポケットで半分だけ使われて終わっていたはずのオイスターソースやバターミルクにも、今晩の献立を実際に決める側に回るチャンスが生まれる——今晩の献立に忘れられる側ではなく。